夏のお茶会 第一弾 マリーアントワネット茶会@星霜軒
マリーアントワネット×お茶?
洋の極み的な存在を和で表現するってどんなだろう?
毎回趣向を凝らしたお茶席と評判の星霜軒さん。
わくわく。
待合では美味しいヤマモモサイダー頂きながら、テーマに因んだお軸を拝見。
今回の御軸
「昨非今是」
昨日は非であったことが、今日は是となる
境遇が変わったために、考えもすっかり変わることのたとえ
マリーアントワネットの境遇を表したこの言葉
いまの時代を表しているよう
今回のお茶席
そのモデルはプチトリアノン
マリーアントワネット達が暮らしたヴェルサイユ宮殿の外れにある小さな離宮。
絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿と違って
マリーアントワネットは子供たち草花・作物を育てたりしていたそう。
そんなプチトリアノンに見立てたお茶席
主菓子
「アント―シャ」
マリーアントワネットをイメージした
可愛らしいモンブラン風の練り切り
その名前の由来はマリーアントワネットの幼名から。
モンブランの中に隠れたホワイトチョコ餡がほんのり風味を効かせて美味しい。
お点前
お点前は可愛らしいカルトナージュの茶箱の雪手前
可愛い茶箱の中にはこれまた可愛いお道具。
魔法のランプみたいなポットが雰囲気を盛り立てる。
かわいらしい茶花は「じゃがいもの花」
マリーアントワネットが好んだ花だそう。
意外。
素敵なお茶を頂いてマリーアントワネットに思いをはせる。
マリーアントワネットは
オーストリア女王の娘として生まれ、14歳でフランス国王・ルイ16世に嫁いだ。
ルイ16世の2代前の王・ルイ14世は「太陽王」と呼ばれ、国民から慕われるカリスマ的リーダー。
そんな曾祖父を持つルイ16世だけれど、早くに父を亡くし、祖父・ルイ15世によって王となるべく育てらる。
高齢のルイ15世と幼いルイ16世の間、王と庶民が接する機会の空白が生まれ、ルイ16世が即位する頃には庶民の心が離れていってしまっていた。
一方で王宮ではルイ14世によって、王とはこうあるべき、貴族はこうあるべき...と決められ、王の暮らしが式典化していた。
そんなところへ言葉も違う隣国から嫁いだマリーアントワネット。
貴族社会でファッションリーダーとなり華やかな暮らしをみせる一方、
離宮・プチトリアノンで子供たちと作物を育てたりするような暮らしを好んでそう。
マリーアントワネットというと、
豪華なヴェルサイユ宮殿で贅沢三昧
飢えにあえぐ国民に対し
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」というイメージだったけど、
プチトリアノンでの暮らしを好んだ話などをきくとイメージが変わる。
マリーアントワネットが好んだ花
「じゃがいもの花」も、その背景にはフランスの食糧事情が...。
フランスの主食・小麦は暑くで乾燥した夏は育たず、冬の収穫が一年の食糧事情を左右してしまう。
その為、王は暑く乾燥する夏の気候でも育つアンデス原産のじゃがいもを普及させようとしたけれど、
じゃがいもの芽の中毒を恐れて代替食糧として流行らない。
そこで、王やマリーアントワネットの帽子や服にじゃがいもの花を飾ってまず鑑賞用として普及させようとしたそう。
そして、あの有名な「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」の言葉も
そもそもマリーアントワネットではなく、ルイ15世の娘の一人の発言だそう。
しかも元の発言も
「小麦を多く使うパンよりも、小麦に卵なども混ぜてたくさん作れるブリオッシュを食べればいい」というものだったのが、
「ブリオッシュ=お菓子」→「パンがなければお菓子を食べればいい」
という庶民の感情を逆なでするような言葉に置き換えられてしまったそう。
贅沢三昧で庶民のくらしを考えていなかったようなイメージが強かったけれど、
エピソードをきいていると、ただ享楽に浸っていただけの王妃ではなかったんじゃないだろうかと思う。
マリーのエピソードに浸った後は、
お隣の和室で
Tea picnic
ピクニックマットの上にフルーツやバケットを広げて、とにかくかわいい。
ちょっとお澄ましした前席とうって変わって
みんなでわいわい。
さっぱりグレープフルーツのジュレからの
冷水点て
可愛くて美味しい
そして奥には宝物まで
マリーアントワネットもプチトリアノンでこんな休暇をたのしんだんだろうか。
出来事はとらえられ方でいかようにも変わってしまう。
自分でみて、どう感じるか
そんなことを考えさせられた時間でした。
こんな風なおみやげを残すお茶会ってすごいな。
星霜軒のみなさん
ありがとうございました。